ENDING PHASE
◆Ending01◆
アインがその扉に掌をかざすと、ロックの外れる音が響いた。レネゲイドウィルス、その中でもアイギスシンドロームに発症したものにしか反応しない鍵。この施設の主であった女の思想を思わせる代物だった。
扉を押し開けば視界に入るのは、赤じゅうたんが敷き詰められた豪奢な部屋。その中に、長身の女性が1人、立っていた。その奥には静かに眠る少年の姿。
シュージ:央樹君っ!
GM/女性:「あなた方は……?」
シュージ:央樹君の友だち。
GM/女性:「央樹君というのはこの子の事ですか?」
シュージ:うんっ。友だち。
GM/女性:「あなた方は……彼を取り返しに来たということですよね」
シュージ:央樹君と一緒にいたいもん……。
GM/女性:「やっぱり、そうですよね。あの人は、私に嘘をついていたんですね」
シュージ:ほえ?
瑠璃:あのバカ?
GM/女性:「私は散々反対したんです。彼には彼の生活があるだろうし、友達もいるだろうし、と。でも彼女は妄信的だったので……アイギスというものに」
遥歌:……あなたはどなたですか?
GM/女性:「私は、エイラスといいます」
シュージ:じゃあ、央樹君おうちにつれて帰っていい?
GM/エイラス:「もちろんですよ。彼はここにいちゃいけない人ですから。こんなことをしてしまって、とても申し訳なく思います」
シュージ:ほっとして、ありがとうって言う。
白雪:あの。
GM/エイラス:「なんですか?」
白雪:あなたは、鈴島翔子がドグマ・リミッターを使用していたことはご存知でしたか?
GM/エイラス:「ドグマ・リミッター……?」
遥歌:失敗作を壊すものが埋め込まれていたんですよ。
白雪:遺伝子から崩壊させる、そんなものです。
GM/エイラス:「そんな非道なことをしていたんですか、あの人たちは。うすうすは感じていたんですけど……すいません、私……! 何も知らなかったんです。けど、そんなこと言い訳にはなりませんよね」
GM:よく見ると、扉、向こうからは開くけどこっちからは開かない。
一同:あぁ〜……。
瑠璃:この部屋から出る道は一切なし?
GM:うん。
遥歌:あなたも外に出ませんか?
GM/エイラス:「私は……外に出てはいけない存在ですから」
シュージ:なんで?
GM/エイラス:「私はここに、この世界にいてはいけない人間ですから」
シュージ:なんでそんなこと言うの?
白雪:誰がそんなことをおっしゃったんですか?
GM/エイラス:「誰がっていうわけじゃないんです。もう、私の存在そのものが……表に出るわけにはいかないんです」
白雪:ではなぜあなたはここにいるんですか?
GM/エイラス:「間違いです。間違えて存在しているんです。それ以上は言えません」
シュージ:……だめ。
GM/エイラス:「行けないんです。ごめんなさい」
シュージ:だめだよ、そんなの。
遥歌:あなたはそこにい続けることで満足ですか?
GM/エイラス:「そんなことはないです。帰りたいんですよ……!」口にしてからハッとする。
白雪:じゃあ帰りましょうよ。
GM/エイラス:「帰れるのであれば、帰りたいです」
遥歌:例えどんな状態になっても、待ってる人は必ずいます。
GM/エイラス:「そう……ですか?」
遥歌:例えどんなにあなたが変わり果てていようとも、絶対にその人はあなたが戻ることで喜んでくれます。
GM/エイラス:「ほん、と……ですか? いるんですか、私の仲間が!?」
シュージ:なかま?
GM/エイラス:「いるんですか? 私と同じような者が!」
遥歌:それについてはあなたの事を詳しく伺わないと分からないですけど。
GM/エイラス:「そう……そうですね。なら、一緒に行きます」
白雪:(手を差し伸べて)さぁ、参りましょう。
瑠璃:そこで手をとって立ち上がるとぐんっと身長差が(笑)
GM:エイラス、170cmあります。30cm定規分の身長差があるよ(笑)
白雪:……気にしちゃいけません(笑)
GM:ではそうすると「シュージ君、天羽君連れて行こう?」と真琴君が。
シュージ:うんっ。てててー(駆け寄る)
GM:天羽君はぐっすり寝ているように見える。
遥歌・白雪:何かおかしなところはありますか?
GM:眠らせるために薬物を投与された形跡はありますが、見た感じ問題はなさそうです。で、シュージ君が天羽君を抱えあげようとしたとき……。
シュージ:うん。
GM:気が付いたら穴だらけになっていた。
白雪:へっ?
シュージ:僕が?
GM:皆。
白雪:え、エイラスさんは?
GM:エイラスも。
遥歌:穴だらけ?
全身が穴だらけになっている。そう認識した瞬間、現実が追いついた。無数の銃声と、流れる赤い液体。何が起きたのか分からぬまま顔を上げれば、立っていたのはただ1人。見たこともない形に変異した銃を構えた少年だけだった。
シュージ:……ま、こと、くん……?
遥歌:それは読めなかったなぁ。
GM:使っていた銃は小型の銃だったんだけど、今持っているのはちょっと違う奴。高速リロードを可能にして、いかなる弾丸も射出可能なバレットを搭載し、ちっちゃいながらも超高性能を発揮するGLOCK26カスタム。いつもとまったく様子の違う佐賀君だけがそこに立っています。
瑠璃:動ける?
GM:全員動けない。
シュージ:真琴……くん……?
GM/真琴:(無言で)バン!
シュージ:がふっ。……なん、で……?
GM:そう言われると、まったく感情の入っていない抑揚のない声で「それが僕の存在理由」と言います。
GM:(みょーに明るい声で)ところで、ゆいさんに質問です!
シュージ:はい。
GM:第3話、どっちで出たいですか?(一同笑)
シュージ:……何をさせたい(笑)
GM:シュージ君と天羽君、次どっちで出たいですか?
シュージ:なんだよ、それはー。つまりどっちかさらう宣言ですか?
GM:(びしっと親指を立てて)グッジョブ!(笑)
シュージ:…………。
GM:どっちがいい? ちなみにほうっておくと天羽君がさらわれます。ねぇ、俺はどっちをさらえばいいの? ねえ?(笑)
シュージ:……たぶん、天羽君さらっといたほうが素直。だってそこでシュージ君が「僕が代わりに」って行くと、天羽君が後ですごい自己嫌悪に陥る……。
GM:あはははは。
瑠璃:そこから立ち直るのがいいんじゃないの?
シュージ:まぁそーなんだけどさぁ……。
GM:どうする? GMとしてはどちらでもいいです。それは直前に聞こうと思ってたので。これはもう、ロールプレイングとかじゃなく、中の人に質問です(笑)
シュージ:……や、まぁ……天羽君つれていくのが、無難、かな。
遥歌:ほんとにいいの?(笑)
シュージ:……助けるもん。
GM:はい、じゃあがんばって助けてください。で、佐賀君は黙々と天羽君を担ぎ上げる。
シュージ:身体動かないけど、一生懸命指だけ伸ばして真琴君の足元をきゅっと。
GM/真琴:「(冷たく)邪魔」ばきっ。
シュージ:しょぼん。
遥歌:君はずっと、君だったの?
GM/真琴:「? 僕はずっと僕だよ」
遥歌:前に天羽君がさらわれた時から?
GM/真琴:「前に天羽君がさらわれた時?」
遥歌:ええ、一緒だったんでしょう?
GM/真琴:「へえ、一緒だったんだ。じゃあなんでその時にやらなかったんだろう」
遥歌:……君はいつから『ここ』にいる? いつから教会にいた?
GM/真琴:「教会? 何のことかよく分からないよ。まぁ僕には仕事があるから、これ以上関わらないで」ガン!(銃を撃つ)
遥歌:肩辺りを撃ちぬかれて「くぅっ」
白雪:じゃあまあ、無駄とは思いつつ……誰の元へ行くんですか?
GM/真琴:「そんなこと言えるわけないじゃない。そんなこと言ったら僕の存在が消されてしまうから」
GM:で、天羽君を抱え、さらに穴だらけになったエイラスも抱えようとします。
瑠璃:満足した?
GM/真琴:「大満足だね。あなたはまだ足りない?」(銃を乱射する)
瑠璃:あなたが今どんなにがんばっても、私は倒せないよ。
GM/真琴:「じゃあ後ほど」
瑠璃:また会お。
白雪:エイラスさん連れてっちゃうのぉ〜?
GM:抱えて行こうとするんだけど……。
「ダメ……央樹君とその人は連れて行かせない……」
GM:アイン君ががんばって動こうとしている。
GM/真琴:「君も、天羽君なの?」
GM/アイン:「ううん。ボクは央樹君じゃない、けど……」
GM:そう言って、エフェクトを使用しようとする。光の弓を撃とうとするんだけど、そんなんイニシアティブでかなうわけがない。弓を引こうとした瞬間に撃たれる。
シュージ:ううぅ。
白雪:そこでDロイス・特権階級! アイン君の急所は外してほしい。
GM:なるほど。わかりました。
GM/真琴:「じゃあ、ね」
GM:が、そこで「ちょっと待ったーっ!!」という声と共にサブマシンガンがガガガガガッ! さすがにそれは不意打ちで佐賀君も対抗できなかった。エイラスのほうだけ落とします。天羽君は抱えたままで。
GM/真琴:「ちっ。伏兵か。……また、今度会おうね。シュージ君」
シュージ:きゅう……。
遥歌:必ず天羽君とあなたはこの世界に取り返しに行きますよ。待ってる人がいるんですからね。
GM/真琴:「楽しみにしてるよ。それじゃ」
瑠璃:次に会った時があなたの命日じゃないことを祈っとくことね。
それには何も答えず、佐賀真琴はいずれともなく姿を消した。
◆Ending02◆Master Scene
アイギス研究所の前に1台のバイクが止まった。ヘルメットをはずすと長い茶の髪がゆるやかに風になびく。
「ふーん、どれどれ……?」
UGNから仕事を引き受けて、ずいぶんと時間がかかってしまった。本来、調査なんて領分ではないのだ。らちもないことを考えながら、星川真名は倒れている男に近づいた。乾きかけた血だまりを気にも留めず、革ジャンのポケットにねじ込んでいた紙束と男の顔を見比べた。
「はい、1人っと」
軽く頷いた後、真名は紙をめくりながら研究所の警備員であった人間達を確認していく。そう時間もかからずに最後の1枚をめくり終えた。
携帯電話を開く。
「あ、薬王寺さん? そう。行方不明になってた人、見つけたから。……後処理はよろしく」
電話の向こう、聞こえるのは細いため息。真名はただ、肩をすくめて応じた。
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