少女は微笑み
待ち望んだその言葉を

ENDING PHASE

◆Ending 01◆ Scene Player ―― 天羽 央樹

 天羽央樹はミッション完了の報告のため、UGN武蔵蓮沼支部の支部長室に、いた。

薬王寺(GM)「天羽さん、お疲れ様でした」
天羽 入生田成瀬という人物が開発した機械により、その事件が起こされていたようです。実行犯はそれに利用されていただけでして、今は病院に運ばれております。
薬王寺(GM)「病院の方の場所や経緯については、傭兵の四之宮という方からも報告を受けており、病院を移動しないことと、しばらくの間UGNの監視下に置かれることについて了承を得ています。向こうに妙な動きがない限りは、当面の間は不問とします」
天羽 あ、そうですか……と、ほっとします。
薬王寺(GM)「この事件については、警察機構の手を離れていますので、UGNが処分を決定することになります。体力回復次第、UGNの方で事情聴取をすることになると思いますが、あきらかに実行犯に非がなさそうではありますので、不問とされる可能性は高いでしょう」
天羽 あー、よかったぁ。星川さん操られてただけだから、なにもなくて良かったぁ(ほっ)

 報告を済ませて支部を出たのは、午後7時をまわったところ。よかった、今から帰れば夕食にはなんとか間に合うな……と、頭一杯に浮かぶのは、家で待っている大切な友達の無邪気な笑顔。
 昨日一緒に料理の本を見ていて、ふと口にした「グラタンって、美味しそうだね」という言葉に、シュージは「じゃあ明日のご飯それね!」と、俄然張り切りだしたのだった。
 ウイルスの侵食から人へと還る際、一番に考えたのは「シュージ君のグラタン、食べなくちゃ」だったことを思い出すと、どうしてか口元が綻ぶ。
「ボク、そんなにくいしんぼだったんだ……」
 そう呟きながら、ただそれだけではないこと、ちゃんと気づいている。
 暗くなった空を見上げる空と同じ夜色の少年の瞳が、ふわりと、和んだ――


◆Ending 02◆ Scene Player ―― 宮城 三郎太

「ケンカ……ねぇ」
 フラストレーションを溜め、そう呟きながらもどこか「いい仕事をした」という充実感もある宮城三郎太17歳不良、である。

宮城 (服をつかみ)ここにあいている焦げた穴を見てだな(笑)
GM 数日後、入院先の星川さんが目覚め、話せるようになったとの知らせを受けます。
宮城 ちょっくら顔だしてくっかあ、と病院にいく。途中、お見舞い用の花を買っていく――菊、1輪。
天羽 オイッ(笑)
舞 マテッ(笑)
遥歌 バカがいるー(笑)
天羽 この人酷いよー(笑)
宮城 病室に行くよ、こんこん☆ そうすると?
GM 四之宮君とその妹ミドリさんと星川さんが、談笑というほどではないけれど、なにか話をしてますね。
四之宮(GM)「あ、宮城……」
宮城 おっと、邪魔しちゃったかなぁ。
四之宮(GM)「別に」
宮城 よぉ、星川。
星川(GM)ふっと“どういう風な顔をしていいのかわからない”状態の顔で「……だいぶ迷惑をかけたみたいね」
宮城 まぁ、元気になりゃあいいやぁ。お前とそれなりにケンカもできたみたいだし。
星川(GM)「あれがあたしとは思って欲しくないんだけど、そういう言葉は……通じないよね」
宮城 あ、ああ、じゃあそういうのは……。

村瀬 とんとん☆ がちゃ☆ しつれーしまーす(一同爆笑)

宮城 入る瞬間に、キサマに菊を持たせるっ。ハヌマーンを舐めるなっっ(笑)
一同 な、なんだってーーーっっ(笑)
村瀬 もうもてねぇよ(笑)<花束持参
宮城 花束の上に、がすっとぶっ差す(笑)
星川(GM) さすがに見えるねぇ(笑)「あーその菊。宮城君が持ってきたんだ?」
宮城 バレたか。
村瀬 美しい星川さんに……。
星川(GM)「まぁ、いい皮肉が利いてて、いいんじゃない?」とりあえず、宮城君に話をし、村瀬君は目に入っていない様子です。
村瀬 ちらっとミドリちゃんの方を見ます。(プレイヤー、手を叩いて、ぐっ! と喜びの仕草、のちミドリちゃんの手を取って)はじめましてっっ!!(一同爆笑)

 ミドリちゃん、結構可愛いらしいしね♪ 早速ターゲットロックオンらしい(笑)

宮城 ちょっとお前っ、お前には話があるんだっっ(笑)
村瀬 なんだ、俺はお前とは話はない、そこの彼女と話があるんだっ(笑)
宮城 いーから来い!!(ずるずるずる)俺に【肉体】でかなうと思うなあ?!
村瀬 ぎゃーぎゃーぎゃー。
宮城 四之宮ぁっっ! あとはわかってんなぁ?!
四之宮(GM)「なんだよおっ、わかんねぇよおおっっ!!!」(一同爆笑)
星川(GM)「あー、もしかしてその人、助けようとしてくれた人ぉ? 宮城君、お礼よろしくねー」
GM ええと、キミたちの【肉体】の差が7対1と凄いことになってるので、そのまま引きずられてフェイドアウトですな(笑)

「病院内で騒がないでくださーいッッ!!」
 そんな看護婦さんの声を背負いながら、村瀬充は屈託無い笑みでひらひらと手を振った。

村瀬 ミドリちゃん、また今度ね〜♪
宮城 いいからこいっっ!!(ずるずるずる)


◆Ending 03◆ Scene Player ―― 斗南 舞

「そう、よかったですね」
 天羽央樹から、星川真名の処分については寛大な処置がとられるであろうことを電話で聞き、斗南舞は安心したようにおっとりと微笑んだ。

GM あなたは天羽君から、報告内容を伝えられます。
天羽 ありがとうございましたー、と、素直に伝えるよー。
舞 なにかありましたらいつでもどうぞ(にこやか)
GM UGNからもお礼が行きます。そんなあなたのところに……て、まずはやることありますか?
舞 春原さんに電話をしますね。
春原(GM)「奇遇……ですね(笑)私もこれから掛けようと思っていました」
舞 そろそろ来るかと思っていましたので……事件のあらましを簡単に説明して、星川さんは無事確保されましたという話と……。
春原(GM)「ええ、そのようですね」
舞 依頼人の裏をとるのは大変ですね、という話をする(笑)
春原(GM)「まぁ、なかなか(苦笑)依頼人をえり好みしていたら、わたしも仕事があがってしまいますので……大変なんですけれどね。お互い頑張りましょうね」
舞 そうですね。ま、そんな感じで。で、あとやることとしてはお見舞い用の花束を買って、メッセージカードを挟んでですね、病院のお姉さんに渡すわけですよ。

村瀬 そしたら、ぎゃーぎゃー言いながら出て来るんだな(笑)
宮城 ずるずるずるずる(笑)

舞 と、通過していく騒がしいなにかを横目に見つつー(笑)手紙には、自分の次のコンサートの“ぺアチケット”を星川さん宛で入れておきます。直接顔は会わせずに。そんな感じで撤収です

『早く元気になってください』
 そんな短いメッセージの後ろには、可愛らしい“うさぎ”(口はバッテン)のイラスト。あとは邪気払い・健康増進のお守りとして“グリーンフローライト”のパワーストーンが沿えてあるのが……彼女らしかった。


◆Ending 04◆ Scene Player ―― 星川 真名、四之宮 纏

 ほんの少しだけ、時間は巻き戻る。
 騒がしき者どもが見舞いに訪れるちょっと前、真名の傍にいた四之宮とその妹ミドリとの、やりとり。

星川(GM)「夢……じゃないよねぇ……」
四之宮(GM)「まぁ……なぁ」
星川(GM)「……はぁ、滅入るなぁ」
四之宮(GM)「まぁでも、まわりのやつは結構、てめえが還ってくるの、待ってたぞ」

 ぐしゃりと自分の髪をかきあげてため息をつく真名に、ひとりひとり協力した人の名前をあげる四之宮。知っている名前、知らない名前……中にはいかにも「らしいなぁ」という者と「そんなことをするなんて意外」という者が、混在していた。

四之宮(GM)「俺だけだと思ってたら、そうでも無いらしいな……ははは」

 微妙に恥ずかしい台詞であると気づいていない四之宮に、後ろから妹のミドリが、ポコッとツッコミをいれた。それを見た真名がぽつりと、ヒトコト。

星川(GM)「……相変わらず、バカァ?」

 と、呆れたように苦笑。そしてノックの音――『Ending 02』に続く。


◆Ending 05◆ Scene Player ――村瀬 充

(彼的には)思い当たる節などかけらも無い(笑)長々とした説教説教からようやく開放された村瀬充は、ふと、自分の手の中にまだ花束があることに気づく。
「花は当日に渡さないと、枯れちまうしねぇ」……ニヤリ、歴戦のナンパ青年の頬に不敵な笑みが浮かんだ。

GM そこで、ひきさがるの? 私はその期待を込めて第2章をですね(←やたらと期待している、GM)
一同 キミはそんな諦めのいい男なのか? なんかやりますか? なんかやりますか?(わくわく)
村瀬 折角だし、もう一度でなおすかぁ。うんと、ミドリちゃんの為にケーキも買ってくかな(一同爆笑)

村瀬 コンコン☆
星川(GM)「はい、どうぞ……ああ、さっきの。だけどあたしに花ってのもねぇ……」
村瀬 美しいあなたには、花束はおにあいですよ♪
星川(GM)「まぁ、アリガトって言っとくけど(苦笑)ところで……どなたでしたっけ?」
村瀬 あ、申し遅れました。俺は村瀬充っていいます。以後、お見知りおきを。
星川(GM)「あー、なんか学校の廊下で見たことあるような気がしないでもないような……」
村瀬 ははははは、照れるなぁ(笑)あ、皆でケーキでも食いましょーよ、あははは。
星川(GM)「そ、そーなんだけど……四之宮は、ミドリちゃんと用事があるって外に出ちゃったんだよね……なんか受付に届け物がって、呼ばれて行ったみたいだけど」
村瀬 なーんだ、それじゃあ、すぐに戻って来るんだ(残念げ)
星川(GM)「なぁに? すぐに戻ってくるとマズイことでもあるのかな?」
一同 既に警戒されてる(笑)
村瀬 それともなにか起こして欲しい?
星川(GM)「なかなか楽しいヒトだね、キミ……なにか起こせるの?」(一同笑)
村瀬 起こしていいって言うんなら起こすけど。
星川(GM)「へー、ふーん……物好き」
村瀬 は、俺以外にもいるんじゃねぇの?
星川(GM)「ふーん、なんのことかしらね……」

 ちっとも甘くない(笑)独特の緊張感を破ったのは――皮肉なことに、戻ってきた四之宮兄妹であった。

ミドリ(GM)「こんな物届いてたよぉ(メッセージカード見て)星川さんへ……えーっとぉ、これ、斗南舞ちゃんのチケットだああっっ!! あたし行きたいなぁっっ、コンサート!!」
四之宮(GM)「じゃあ、お見舞いなんだから、星川と一緒に行けばよかろう」
村瀬 睨みつけとこう(笑)
四之宮(GM)「(ニヤリ)通常の感覚じゃあ無理だぞ」
一同 負けてるよ? 俺なら大丈夫だって言わんばかりだよ、負けてるよ?(爆笑)
村瀬 あーっ……そ?(笑)
四之宮(GM)「ああ、ちなみに妹は……やめといた方が……」(一同爆笑)
村瀬 なに、誰か恋人いんの?
四之宮(GM)「あんのなぁ、こういうこと面と向かっていっていいかわかんないんだけど、もうちょっと志向性を持たせないと、誰も振り向かんぞ」
村瀬 これが俺のやり方だからさ。
四之宮(GM)「俺も人のこと言えたもんじゃないとは思うけどな」

「ま、色々ご協力ありがとう」と、さし出された四之宮の手を軽く叩いて払い、村瀬は挑戦的な瞳で笑う。ただそこには殺伐とした空気は無い、かといって男の友情という血の通ったものも……無いわけだが。
「じゃ、ミドリちゃん、またねー♪」と、騒々しく去っていった背中に、四之宮は苦笑を投げた――「いっそ潔い、か」と。


◆Ending 06◆ Scene Player ―― 久遠寺 遥歌

「これは回収失敗、ですよねぇ」と、苦笑交じりに、久遠寺遥歌は上司に壊れた機械をさし出した。

GM 壊れた機械の機構を見ても、何がどうやら……という感じだけれど(笑)それでもあなたの報告から、この機械が「一瞬で侵食率を160%分、押し上げる」ということがわかったので、今後色々と調べてみるとのこと。壊れてしまったことについて、特に咎められるということは、ありません。
遥歌 入生田さんの“端末”を壊しても無駄だと判断しまして、今回は事件解決に必要な部分だけ吐かせ、見逃しました。
室長(GM)「“本体”の居場所を突き止めるということが、必要になるのかもしれないな」
遥歌 そうですね……あ、そうそう、入生田さんの本体は、あの姿見とは違うようですよ?
室長(GM)「それは一体どのようにして探せばいいのか、わたしには一向に見当がつかないではないか」
宮城 (無言で遥歌を指差す)
遥歌 だからなんで指差すのさあっっ!!
村瀬 本体……お父さん?! 実はこっち(遥歌)がお父さん?!(笑)
宮城 あー、なるほど(笑)
遥歌 “あー”じゃなくてっっ。子供なんていつ作ってたんですか、僕わっっ。
舞 いやほら9歳で暴走した後、壊れて記憶のなかった1年の間に、従者として作ってたやつがこう……ね?
天羽 “ひとりじゃあ、寂しい……なぁ”
遥歌 うあああああああああ(崩壊)
室長(GM)「ところでどうしたのかね? 久遠寺君」
遥歌 …………はっ(笑)
室長(GM)「入生田との邂逅で、なにか問題があったのかな?」
一同 うあはははは、なに知ってんだ室長!!(爆笑)
遥歌 なにを見てたんですかっっ(焦)……と、心で叫びつつ。そう言えば面白いことを言っていましたよ、と話を切りかえる。
室長(GM)「ほう?」
遥歌 彼が連れている“辻堂京”なんですが、彼女は現在、入生田さんから逃げているとのことです……彼女の方からすれば、ですが。入生田さんは“造られし魂がどこまで自我を持ちえるか”という実験だ、と言っていました。
室長(GM)「ほほう興味深いなぁ……で、その“辻堂京”だが、どちらにいるのだ?」

 遥歌は彼女が潜んでいるのが“横崎市”であると、室長に伝えなかった。UGNに邪魔されず実験の結果を見てみたい――そう強く望む自分がいたからだ。

 小さな男の子と女の子が仲良く映る写真。
 赤ん坊の頃から始まり、7歳ぐらいで唐突に男の子だけが……消える。
 自分によく似た面影を持つその男の子が、自分であるという確証はどこにも無い。証拠となる積み重ねてきた“想い出”が、自分にはなにも無い、から。
「あら、でしたらこの赤ん坊がわたしだなんて証拠もありませんわよ?」
 ……考えていることはすっかりお見通しなのか、写真の女の子を指差さし叶歌のメゾソプラノが苦笑した。そんなことはない、と慌てて返せば、気高さすら感じさせる笑みで彼の双子の妹は言いきった。
 ――だったら、その男の子はお兄様ですわ。
 と。
 彼女にとっては同じ理屈なのだろうか。そんな繊細とは正反対で、けれど果てしなく前向きなその言葉に、遥歌は苦い笑みを浮かべながらも――心の錘が溶けるように消えていくのを、確かに感じていた。


◆Ending 07◆ Scene Player ―― 入生田 成瀬

 ――都内武蔵蓮沼市某所、某マンションからつながっている、とある領域の中。

 ノートパソコンに向き合いながら、白衣の男がひとりぼやいた。
「あらら、壊されちまったよ。なんだぁ、最後に壊したのは、と……おやおや……」
 彼の眼鏡に映りこむ画面には、数時間前自分の元を訪れたひとりの青年の姿があった。 昏くも鮮やかなブラッディレッドの瞳の細めて従者に命を下す様は、侵食率100%を超えているとは言い難い怜悧さが、ある。
 ましてや――たったいま覚醒したばかりのエフェクトを扱っているという不安定さは、まったく感じられない。
「おかしいなぁ。壊すとしたら……かの青年か、それとも対抗はかの青年か……」
 コルクボードに止められた、銃を構えたライダースーツの青年と軽薄な笑みを浮かべた制服の青年の写真を見やる。それぞれ今回の実験に使用したサンプルに、精神的に深いつながりを持っている、ないしは持とうとした存在だ。
「はたまたあのバカな人かと思っていたが……」
 昼間、2人のやり取りの間で混乱していた、肉体バカの顔を思い出して思わず吹き出す、男。あれも興味深いサンプルには違いない。
 指を伸ばしキーに触れ、もう一度機械が壊される瞬間の映像まで巻き戻し、呟く。
「そうかぁ……また1つ、成長したなぁ」
 自らの研究を途中で邪魔されたというのに不満は無く、むしろ遥か高みから見守る寛大さと喜びすらを感じさせる声。顔には穏やかな笑みまでを浮かんでいた。
 ぐっと伸びをしてコーヒーを煽ると、男の指は目にも止まらぬ勢いでキーボードを叩き出す。
「さ、て、と。この結果でわかったことと言ったら、なるほどなるほど……とりあえず、これだけ侵食率があがっても、行動の志向性はそれなりに保たれている、ふむふむ」
 星川真名が四之宮纏を攻撃した際に、火炎のエフェクトを重ねなかったというデータは、彼にとってこれまた興味深い内容であった。

「あーりがっとさんっと♪」

end


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