妖魔伝≫北森御伽草子
武蔵野の山奥に、たいそう綺麗な泉があった。こんこんと湧き出る水は小川とな れば、山を下りて森を潤し、里の生命を育みけり。この地、北森と呼び習わす。 北森の泉は命つなげる神の賜物。それは里に伝わる昔話。日照り続きの年でさえ 枯れることなきこの泉には白き蛇が住むという。蛇は山を下る川のしるし。すなわ ち水神の化身なり。ゆえにこの地には小さな祠が建てられた。後にそれは北森を守 る神の社、北守神社となり、祭神の名を水生森命(みずきのもりのみこと)となす。 ……その名をもって、昔話に命が生まれた。 風が冷たくなりだした十一月、境内には銀杏(いちょう)がはらはら風に吹かれ て舞っている。音もなく枝から離れ、地面に降り積もる黄色い葉。縁側に腰掛けた 男が、ぼんやりとその様子を眺めていた。頭はすっかり白くなり、もう老人と呼ん でも差し支えない年齢に見える。くたびれた式服に身を包み、右手には竹箒が握ら れている。北守神社宮司、斎藤健である。 「やれやれ、こりゃ表の掃き掃除だけでも一苦労じゃのう。」 ほうっとため息をつくと立ち上がって境内を見回す。ここ、北守神社は決して広 くはない。それでも鳥居から社殿までは五、六メートルあったし、それだけあれば 掃き掃除にうんざりするには十分だった。しかも境内の東から北にかけての辺りは 植物も多く、この神社建立の由縁である泉を中心に、小さな自然公園の様相を呈し ていた。寒空の下この泉も清めねばならないか(つまりは掃除だ)と思うと、腰が 重くなるというものだ。 「まあ、そうも言っとられんか。」 もうじき七五三だ。こんな小さな神社でも、近所の家族がお参りにやってくる。 掃除をしたり、御神酒を用意したり、やるべきことはたくさんある。健はようやく 箒を握る手に力をこめた。せめて今日中に外の掃除は終わらせないと、間に合わな い。 (ばあさんがおらんだけで、ずいぶんときつくなるもんじゃ。) 銀杏の葉を一ヶ所に掃き集めながら、一年程前に他界した妻、春奈のことを思い 出す。人を雇う金もなく、ずっと二人でやってきた。活動的で元気のいい人だった。 それでも本当は無理をしていたのだろう。一度寝込んだら、そのままぽっくり逝っ てしまった。贅沢もさせてやれず、悪いことをしたと思う。 「しかしなぁ……。」 思い出に浸るのも良いが、まずは目の前の問題だ。相変わらず手伝いの人に来て もらえるほどの金もなく、かといって一人では準備はまだしも七五三当日を乗り切 れる自信はない。箒を動かしながら、健は深いため息をついた。 その時だ。 「おぬし相当に困っておるな。手伝ってしんぜようか?」 透明感のある若い女性の声。いつからそこに立っていたのか、和服が似合うその 女は服装と同様に時代がかった口調で言った。いまどき、若い娘が着物を着ている なんて初詣と成人式くらいだろう。見た目は二十歳前後であるのに、何十年も齢を 重ねた者のような深いまなざし。腰に届きそうな長い黒髪に、白い肌。男であれ女 であれ、人の目を引くには十分な顔立ちであった。自然と健の表情が緩む。 「こりゃまた別嬪さんじゃのう。……しかし、手伝ってくれるのはありがたいが、 うちはろくに金が出せんぞ。」 「かまわぬ。手入れされておらぬでは妾(わらわ)の居心地が悪いゆえのことじゃ。」 「? ……まあ、なんにせよ一人では難儀しておったからのう。お願いしようかの。」 相手はまったく得体の知れない女性だというのに、健はあっさりうなずいた。あ まりにタイミングがよすぎないかとか、なぜただで手伝いなどに来てくれたのかと か、この美女は何者なのかとか、疑問に思うことはいくらでもあるはずなのに、ほ とんど迷いもしない。自分の人を見る目を信じているわけでもない。論理的に判断 を下したわけでもない。単純に、斎藤健というのは細かいことを気にしない人間だ った。ついでに言えば、若い美女と知り合える好機を逃すような人間でもない。 「そんなだから囲碁で伸さんに負けるんですよ。」 健の大雑把振りを見ては、春奈はそう評したものだった。だが、碁で負けるくら いで、特別困ったことにはなっていないのだから、良いじゃないかと思う。あれこ れ気にしたところでどうにもならないことというのはあるのだ。 「それじゃ、ここの掃き掃除を頼むとしようか。ええと……そうそう、ワシはここ の宮司の斎藤健じゃ。娘さんの名前は?」 「名前、か。」 女は怜悧な視線を一瞬、宙に彷徨わせた。 「まあ、『みづき』と呼ぶがよい。」 「……ほう、みづきさんか。それじゃ箒はこれを……。その格好じゃ動きにくそう じゃな。着替えを持ってこよう。」 「別にこのままでかまわぬぞ?」 自分の姿を見下ろしながらみづきが言った。地味な青灰色の小袖。決して機能的 な服装とは思えない。 「遠慮しなさんな。巫女装束なんぞ滅多に着られるものではないぞ。」 ……確かにこの家に若い女の着るような服があるかといえば疑問だが、それもあ まり機能的ではない。袴なぶんだけ歩きやすいと言えばそうだが。総じて和服は動 きにくい。 「遠慮などしておらぬ。はよう箒を貸せ。ここを掃けばよいのじゃな?」 「ん、ああ……。それでは一つ、よろしく頼むぞ。」 みづきに箒を渡し、社殿の掃除をしようと健はきびすを返した。草履を脱ぐ寸前、 ちらりと泉に目をやる。その目が、かすかに笑っていた。 「斎藤さん、おるかね。」 正面のほうから、かすかにしゃがれた男の声がした。知った声を聞きつけて健が 社殿から顔を出す。 「おう、どうしたね。あいにく今日は碁会所に行く暇はないぞ。」 「違う違う、あんたにゃ悪いがちょっとばかり困ったことが起こってな。」 男は禿げ上がった頭をなでながらため息をついた。勝手知ったる様子で、勧めら れぬうちから縁側に腰を下ろす。 「斎藤さん、この間、橋の取り壊しで地鎮祭だったか? やっただろう。」 「ああ、先週だったと思うが。何かまずいことでもあったか。」 近所のよしみで回ってきた仕事だった。いい加減古い橋だったので区画整理に際 して取り壊すことになったのだ。その工事の前に事故が起こらぬよう、祈祷を捧げ るのが神主としての健の仕事だ。仕事は無事に終わって、もう工事は始まっている はずだったが……。 「それがな、現場の連中が皆寝込んじまったんだよ。べっぴんな女の幽霊を見たと かいう奴もいるってんで工事にならんのだわ。」 『別嬪な女の幽霊』と聞いた瞬間、健は思わず視線を庭に走らせた。が、すぐに なんでもないように応える。 「なるほど。そりゃワシの仕事ぶりに疑いもかかるわな。」 「そういうわけだ。幽霊だのなんだの、気のせいだとは思うんだがそう思わん奴も おるでな。」 「おるさ。人ならぬものはな……。」 健の断定的な口調に男は奇妙な表情をした。が、宮司たるもの、少しも信じてい ないでは勤まらないものかもしれない。そう思って深く尋ねることはしなかった。 「まあ、とにかくもう一度頼むことになると思うから、それだけよろしく。」 「ああ、わかった。」 軽くうなずいて健は彼の背中を見送った。 「古い橋に現れる美女、か。これはぜひ会ってみたいものだな。」 いそいそと社殿に引っ込む健。そこからは見えない位置で、竹箒を動かしていた みづきが長いため息をついた。あらかた掃除を終えた境内を見回し、何事かを考え ていたが、……早々に箒を片付けだした。 その橋が作られたのは江戸時代も半ばまでさかのぼる。自動車も入れないような 小さな橋で、小学生が近道に使うのがせいぜいという、もはやほとんど人気のない ものだ。それゆえに今までろくな補修工事も行われなかった。ようやくそのままで は危ないだろう、という意見が出たと思えば一気に取り壊しの話である。 「それはまあ、勝手なことをすると怒りもするか。」 橋のたもとに立って、健は誰にともなく呟いた。何を思ったか、白い式服を着込 み、腰には使い込んだ木刀がさしてある。秋の日はすでに暮れ、東の空はすでに暗 い群青に染まりはじめている。辺りには誰も見当たらない。健は黄と黒のロープを またいで橋の上にたった。 「おるのじゃろ。話がある、出てきてくれんか。」 そう、橋の上で声をあげる。ここを守るモノに語りかける。 一瞬の静寂。 「今さらではありませんか。どうせ、橋を壊すというのでしょう?」 ゆらり、と陽炎のように現れたのは、金糸に彩られた豪奢な赤い単(ひとえ)を まとった女性。黒い髪は高く結い上げられ、珊瑚の櫛で飾られている。おしろいに くっきりとひかれた紅が小さな口元を引き立たせる。時代劇に出てくる大名の姫の ようであった。だが、その瞳は暗く、狂気にとらわれていた。 「私は永きに渡り、ここでこの世と常世(とこよ)の境を守ってきました。この橋 は私自身です。この橋を壊そうというものに容赦はいたしません。」 言葉と共に、彼女の脇に小鬼が現れた。健の腰にも届かない背丈、手足は細く骨 と皮しかないように見えた。そのくせ腹は丸く突き出て、顔には陰惨な笑みを浮か べている。 小鬼は、その細い足からは考えられないほどの跳躍力で健に襲いかかった。慌て て木刀を抜いて構える。飛びかかる小鬼を迎え撃つ! カッ! 乾いた音がして木刀に小さな鉤爪が食い込む。若い頃、大社で修行時代に学んだ 剣術が役に立つ日が来るとは、世の中わからないものである。 「ちょっと待ってくれ。いきなりこれはなかろう。ワシだってあんたみたいな別嬪 さんをみすみす消すようなことはしたくない。」 予想外の展開に健は背中にどっと汗をかいた。工事の人間は寝込んだと聞いたか ら、よもや直接攻撃をされることもないだろうとたかをくくっていたのだ。しかも この女性、ろくに話を聞く気がないらしい。無言で小鬼をけしかけ……。 「そこまでじゃ。」 凛とした透き通る声。いささかあきれたような気配が感じられるのは気のせいだ ろうか? 振り返るとそこにみづきが立っていた。 「健、おぬし無茶もたいがいにせい。」 「これはこれは、我が祭神様にご足労いただけるとは光栄ですな。」 さも愉快そうに言う健。みづきはぽかんと口を開けた。 「おぬし……気づいておったのか?」 「そんなに偉そうな女子(おなご)はそうそうおらんわ。何年神主をやってると思 っとる。だいたい、その着物、うちのばあさんのじゃろ。」 「……きちんとあとで返すつもりだったぞ。」 憤然としながら、みづきは健の前に出た。戸惑う小鬼には目もくれず、目の前の 女を見据える。 「橋の上で常世への入口を守るもの、か……。そなた、橋姫じゃな?」 橋姫。名前のとおり橋を守る民間信仰の神である。橋は川で隔てられた二つの地 点を結ぶ場所であり、異界へ通じる門であると思われていた。病は橋の向こうから やってくる。死者の魂は橋を通って常世、つまりあの世へ行く。それを見守るのが 橋姫の役目だった。 「私のことをご存知とは、何者ですか?」 橋姫が目を細めた。どう手を出せばいいものか、考えあぐねているようだ。 「妾は北森の泉に住まう水神じゃ。この地の人間にあだなすことは妾が許さぬぞ。」 健以外に人はいない。みづきは高圧的な態度で正体を明かした。そもそも橋姫は 本来決して攻撃的な存在ではないはずだ。みづき自身も格闘向きではないが、ひた すら泉で眠るように時を過ごしていたとはいえ、二百年も生きていない橋姫ごとき に遅れをとるつもりはない。相手もそのくらいは理解できるだろうし、そうすれば 無理に襲いかかりもしないだろう。そう踏んでのことだったのだが。 「貴女は今でも人に奉られ、覚えられているからそのようなことが言えるのです。 私のことなど、もはや誰も覚えてはおりませぬ。忘れ去られることがどれほど恐ろ しいか、貴女にはわかりますまい!」 橋姫はカッと瞳を見開いた。小鬼や、亡霊のようなものが彼女の前に現れる。本 来現世には存在しないもの。常世の住人。橋姫は、守るべき境界を自ら破った。 「常世のものを呼び寄せるとは……。」 「健、下がっておれ!」 背後で身構える気配を感じて、みづきは視線を前に向けたまま声を張り上げた。 その姿が、一瞬霞がかる。 「ほ、お……。」 目の前の出来事に、健は感嘆をもらすことしか出来なかった。 みづきが、水神としての本来の姿をあらわしたのだ。長い黒髪と白い肌はそのま ま、瞳は金色に輝いていた。美しさはさらに清麗さを増し、放たれるのはまさに神 気。身にまとうのは穢れない純白の着物。その裾からは、両の足の代わりに鱗に覆 われた白蛇の尾がのぞいていた。 変化は一瞬のうちだった。みづきが人外のものの姿をあらわしたところへ、橋姫 が召喚した小鬼たちが襲いかかる。 金の瞳で敵を見据えながら、みづきは胸の前で何かを抱えるようなしぐさをした。 その両手に、水が生まれる。 「人にあだなすもの、この世にあってはならぬもの。妾が標(しるべ)をくれてや るゆえ、疾(と)く在るべき地に帰るがよい!」 穏やかなる神も、ひとたび怒ればその猛々しさは人を恐怖に陥れるほどとなる。 自然に対する畏怖が、みづきを生み出した。荒ぶる神は水もて神罰を下されん。 ねじるようにして両手を突き出すと、鋭い刃となった水が小鬼たちをさいなんだ。 ただただ正面から向かっていたそれらは、醜い叫び声と共に塵のように掻き消える。 たやすく悪鬼を倒され、橋姫は片方の眉を跳ね上げた。蛇の下半身を起こし、み づきがゆっくりと見下ろせば、じり、と一歩あとずさりする。 「おのれ……。」 首を左右に振りながらまた一歩下がる。己の身一つでは橋姫は何も出来なかった。 橋という異境とのつなぎ目を見守り、管理することだけが彼女に与えられた力なの だ。こうなると目の前の水神にかなうはずもない。 ただ、それでも言わずにはいられなかった。生きたいと思っているだけなのに、 なぜこんな目に会わねばならない? 「おのれ、おのれ、おのれ……!」 のどの奥からしぼりだされる呪詛の言葉。 「妾とてそなたにおとなしく消滅するのを待てという気はない。少し話を聞け。」 「貴女などには、貴女などには……ッ!」 両の拳をわななかせる。狂気に犯された瞳は憎悪を増してみづきを捕らえる。 「……もはや言葉も届かぬか。」 そこまで追い詰められていたのか。みづきは肩の力を落とし、深くため息をつい た。救えなかったのだ。己が地にありし同胞を。長い翠髪がうつむいた顔に落ちる。 落胆は一瞬だった。守らねばならぬのだ。ならば、ためらってはならない。 「来るがよい、橋姫。妾が引導を渡してやろう。」 開かれた金の瞳が、目の前の狂気をまっすぐに受け止める。白い腕を掲げる。 「此の水を天之忍石(あめのおしは)の長井の清水(きよみず)と幸(さきわ)ひ 給え。」 清めの祓言(はらえごと)を唱えつつ、掌に水を生み出す。心を静め、慈悲の念 を呼び覚ます。せめて、その身の狂気を祓ってやれるように。 紅の着物が目の前に迫った。 手の中の清水が凝縮される。 そして。 「……『流牙斬』!」 その名にたがわず、水は牙のように橋姫に踊りかかった。赤い着物がちぎれ、珊 瑚の櫛がはじけ飛ぶ。 「あ……。」 崩れゆく己の体を見て、橋姫は呆然と呟く。衝撃の大きさに、狂気もどこかへ消 えうせた。さらさらと砂のように体が崩れていく。今は他人事のように冷静にそれ が認識できた。ふっと白蛇の神を見上げる。 「そう……、そうですか。形あるものはいつか朽ちるのが理。もはやさだめの時だ ったのですね。」 「そうではない。そなたが消えたくないと願うのは自然なことじゃ。……ただ、そ なたはやり方を間違えたのじゃ。」 みづきの言葉を聞き終えずして、橋姫の体は塵一つ残さず消えてしまった。橋そ のものも、どことなく古さが増したように感じられた。 ため息一つつき、みづきは人身に変化する。その背後から、朗々と歌うような声 が響いた。 高天原に神留り坐す 神漏岐神漏美之命以ちて 皇御祖神伊邪那岐之命 筑 紫日向の橘の小門之阿波岐原に身滌祓ひ給ふ時に生坐る祓戸之大神等諸々禍 事罪穢を祓へ給ひ清め給へと白す事の由を天津神地津神 八百万之神等共に 天の斑駒の耳振立て所聞食と畏み畏みも白す 「気休めにしか、過ぎんがの。」 そう、健は苦笑した。みづきはそれに微笑みで応える。 「いや。その気持ちが何よりも大切なのじゃ。」 「そう言ってもらえるとありがたい。」 少しでも自分がいる価値があるというものだ。宮司といっても本当の神通を得て いるわけではない。せめて出来るのは祝詞を唱えてやることぐらい。そのことに意 味があるのならば、長年神主をやってきたかいがある。 「さて、帰るとするか。」 ぐっと背伸びをしながら、みづきが言った。 その後、無事に取り壊し工事は再開されたということじゃ。健は橋の建材をいく らか貰い受け、境内の、泉から流れる小川に小さな橋をかけた。 「これも気休めでしかないがな。」 そう言ってまた苦笑したが、そうやって彼女のことを忘れぬ人間がいる限り、い つか橋姫は再びよみがえるであろう。人の思いが我らを形作るのだから。 そして、妾はというと……。 「どうじゃ、せっかくだからこのまま人間社会に暮らしてみんか?」 妙に期待を込めた目で健が勧めた。七五三も何とか無事に済んで、ようやく静け さが戻った境内である。 「ふむ。……ま、長い間眠っておったからのう。たまには面白いかもしれん。」 「よし! 決まりだな。」 「……何がそんなに嬉しいのじゃ?」 意気揚揚と手を叩く健に、みづきは首をかしげた。彼は、単純に美人が家にいて くれることを喜んでいるのだ。相手が人間でないとか、本体は蛇だとかは気になら ないらしい。大物なのか、ただの助平なのか。 「そうと決まれば、まずは言葉遣いを直さんとな。」 「何かまずいか?」 「この間も言ったろう、そんな偉そうな口調の女子はいまどきおらんよ。」 「ふう、ん……。」 妙にうきうきする健に、少々不安を感じはしたが。 (人と共に暮らすのも、悪くはなかろう。) 同時に、この何百年と忘れていた新鮮な感覚が胸にあふれるのを感じていた……。 終わり
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