遥か昔、この世界を作った神がまだ大地にいた時代。  大地の母たる神と、父たる神はささいな行き違いから争いを始めた。  地下深く黄泉の国にいた母なる女神は言った。  「愛しい貴方の国の子供たちを、一日ごとに1000人殺して黄泉に迎えましょう」  地上に残った父なる神はこう言った。  「愛しい君よ、ならばこの国は一日に1500の産屋を建てるだろう」  それから幾許かの時が過ぎ、父なる神は天に帰り、地上は少しずつ増えてゆく人の子のものになろうとしていた。  これから語られるのは、この大地に生き、懸命に生を全うしようとする人の子達が織り成す物語である。