OPENENG PHASE
◆Opening01◆甲月シュージ
アイギス研究所に乗り込んだ翌朝。ステンドグラスから差し込む朝日の下、シュージは1人きり、膝をついて目を閉じていた。
GM:朝。聖ジュエル教会の礼拝堂に1人。絵里香さんは仕事いっちゃったし、神父さんも今日は出かけている。昨日までいた真琴君は、もういない。天羽君も連れ去られ。
シュージ:しょんぼり。
GM:そして、前回出会って友達になると約束をしてくれた、天羽君の複製体アインも、まだ眠り続けている。シュージ君や他のPC達は回復したけれど、アインとアイギスの起源種、エイラスは治りが悪い。新シンドロームだから病院でも扱いが難しいらしい。
シュージ:大丈夫かなぁ。
GM:君の友だちといってくれた3人はみんないない。1人なんですよ。あなたは。
シュージ:いないのー(しょんぼり)
GM:真琴君はどうしてあんなことをしたんだろう。いや、そもそもあれは真琴君だったんだろうか?
シュージ:「一緒に央樹君を助けようね」って、言ったのになぁ……。
GM:そうやって考え込んでいる君の後ろから声がかかる。
GM/男:「君がシュージ君だね。はじめまして」
GM:そこにいるのは、しっかりした背格好の50代半ばの男。すごく野心的で野性的、それでいて知的な目が印象。その傍らには、ぶかぶかのフードをかぶっていて顔はわからない、君と同じくらいの背格好の人物が立っている。
シュージ:……おじさん、誰?
GM/男:「ほう、これはすばらしい」男は思わずといった様子で呟く。「……いやいや、すまんね。私は三重俊之。君を迎えに来た」
どこかの遥歌:(ひそひそ)知らない人についていっちゃいけないって前回お兄さん言ったよねっ!?(笑)
シュージ:どこへ?
GM/俊之:「それはまだ言えない。今回は挨拶にきただけだ」
シュージ:なんで僕のこと迎えにきたの?
GM/俊之:「天羽君が、君を待っているからね」
シュージ:! 央樹君どこにいるの!?
どこかの遥歌:央樹君の名前を出されてもすぐについていっちゃダメって、言ったよねっ!?(笑)
シュージ:なんか遥歌君の声が聞こえる気がするけど、おいといて(笑)「どこにいるのー?」
GM/俊之:「それは我々と来てくれれば分かることだよ。ただ、今はまだ連れて行けない」
シュージ:……そっちの子は?
GM/俊之:「気にしないでくれ、私の付きみたいなものだ」
シュージ:みゅー、央樹君どこにいるか知ってるの?
GM/俊之:「知っているが、今は言えない。ただ、これだけは言っておこう。天羽君は元気だよ」
シュージ:よかったぁ……。
GM/俊之:「君の事をずっと待っている。それだけが言いたかったんだ。それじゃあ」
シュージ:え、あ……うぅ……。
GM:君がそうやっておろおろしていると、そのまま2人は教会から立ち去っていく。
◆Opening02◆大木幸助
火曜日の休み時間。なぜか普段より静かな感じがして、幸助はその理由に思い至った。いつもならば廊下を闊歩している、威勢のいい校内カウンセラーがいないのだ。
幸助:侵蝕値は(ころころ)……1。
どこかの瑠璃:いいなぁ、少なくて。
GM:いつもなら火曜日は、火・水・木しかこないカウンセラーの三重和歌子先生が、週明けということではりきって徘徊している(一同笑)……だけど、それが見当たらない。そして、今朝あなたはちょっと気になる光景をみている。
幸助:うん?
GM:学校に来る途中の道で、黒服の男達が車のそばで誰かと話をしている。物々しい感じではない。黒服たちの中心にいるのはどうやら女性のようだ。少し話をした後、黒服たちにエスコートされる形で女性は車に乗った。そのまま男達も車に乗り込んで去っていった。その時は気づかなかったけれど、思い出してみると、その女性は三重先生だった気がする。
幸助:う〜む。なんか気になるなぁ。
GM:そうやって考えながら歩いていると、向こう側から不良教師がひとり歩いてくる。分煙化されてるくせにタバコをふかしてやってくるのは柊先生。そして大木君を見る。ロックオン!
幸助:あ、こんにちは。
GM/柊:「あー、ちょいちょい。大木〜、お前さ、和歌子みなかった?」
幸助:今日、学校でですか?
GM/柊:「うん。当たり前だろ。別におまえんちに和歌子がいるかどうかなんて興味ないよ」(一同爆笑)
幸助:いや、学校では見てないんですけど、学校の近くで見たような気がします。
GM/柊:「あぁ〜? ……逃げたか、アイツ? 先週アタシが2万円貸しただろうが! 今週頭に返すっつったろう? ったく」ぶつくさ言いながら去っていく。
幸助:……あの様子じゃ今朝の出来事は話さないほうがいいだろうなぁ(笑)
GM/むつき:「あらあら幸助君、どうしたのかしらぁ? 何か悩みがあるなら先生に言ってみない?」
香坂むつき。生物教師であり、幸助のクラスの担任でもある。ソラリス/オルクスのオーヴァード。
幸助:あー、いや、三重先生がいらっしゃらないなぁと思っていただけです。
GM/むつき:「そうなのよねぇ。だから今日カウンセリングの先生がいないから、あ・た・しが勝手にすることにしたの♪ 生徒の悩みを解消するのが仕事なんでしょ? だから三重先生を見習って、こうして歩き回ってるの」
幸助:でも先生には担任の仕事があるんじゃないですか?
遥歌/むつき:「クラスの子しっかりしてるから大丈夫♪ みんなけっこう悩み事ってあるみたいで、歩いてたらもう3件も受けちゃった」(笑)
幸助:心の中で思います。それって、《抗いがたき言葉》とか使ってたりしないか?
どこかの遥歌:恐ろしい話だなぁ(笑)
GM/むつき:「ま、何かあったら言ってちょうだいね」と言って去っていく。
幸助:うーむ(汗
GM:そうやって歩いていると、カウンセリング室に向かって叫んでいる樫木先生に会う。てかどうしてPCには女教師しかいないんだよ!(笑)
登場してきた3人の教師は全員他プレイヤーのPCである。
どこかの瑠璃:まっとうな教師求む(笑)
GM/樫木:「お〜い、和歌子〜!」
幸助:か、樫木先生、何やってるんですか?
GM/樫木:「大木か。和歌子、今日休みなのか?」
幸助:いえ、俺も知りませんけど。でもいつもでしたら先生歩き回ってるのに、見ませんね。
GM/樫木:「おかしいな、今日飲もうって約束してたのになぁ」
幸助:そうなんですか。
「と・い・う・わ・け・で」
GM:3人同時の声が聞こえる。君は気がつくと囲まれている(一同爆笑)
幸助:な、なんですかぁっ?
GM/3人:「じゃ、調べてきてv」
幸助:いや、あの……。
遥歌/柊:「大木〜、あたしいつも言ってるよな? 困ってる人は助けるようにって。あたしも2万入らないと困るんだよ」
幸助:あ、は……はい。わかりました……。
教会のシュージ:よわっ(笑)
幸助:俺、今朝三重先生らしき人をみかけたんで……。
遥歌/柊:「マジで!? あいつどこ逃げようっての。あんた知ってんの? キリキリ吐きなさい。2万よ、2万!」(一同爆笑)
幸助:なんだか、カタギに見えない人と車に乗っていったんですけど……。
遥歌/柊:「……そんなに追い詰めた覚えなかったんだけどなぁ」(一同爆笑)
GM:2万ごときに追い詰められるってどーよ(笑)
幸助:まぁ、はい。調べてみます。
※ ※ ※
GM:というわけでね。なんか大木君に囲まれて欲しかった。
幸助:なんでーっ!?
◆Opening03◆如奈瑠璃
『そこ』には、最初から立っていた気がする。なじみのある場所だ。それだけは分かる。けれど、どうしてここにいるのか、ここがどこなのか……何も思い出すことができなかった。
GM:…………って、るりっちの「なじみのある場所」ってどこ?
瑠璃:喫茶店かな? 初老のマスターがかっこいいお店。
教会のシュージ:いつも情報収集してるお店だね。
GM:なるほど。ではあなたはそこにいる。周りには誰もいない。そもそも、あなたはここがどこか思い出せない。
瑠璃:う〜ん……、じゃあマスターがいないわけだから勝手にコーヒーを入れて、まったりしてる。
GM:そんな感じにくつろいでいると……もう1つ聞かなきゃいけないんだよ。るりっちの一番因縁が深い人って誰?
瑠璃:ロード。
GM:(瑠璃のシートを覗き込む)……師匠なんていたんだ、知らなかったー!(笑) 姿とか覚えてる?
瑠璃:直接会ったことないから声しか知らない。
GM:ではそうやってコーヒーをこぽこぽ淹れてると…………体に衝撃が走る。
――壁と床が動いた。
遅れて、灼けるような痛みと体から溢れる赤い液体。冷たい床に広がる鮮血を眺めて、瑠璃はようやく自分が倒れていることを認識した。
体を動かさぬまま周囲を探れば、いつの間にかすぐ側に立つ気配がひとつ。その人物は、懐かしい声で倒れ伏す少女の名を呼んだ。
「如奈、瑠璃……」
瑠璃:久しぶりなのにずいぶんなご挨拶ね。
GM/声:「どうだい? 痛いかい?」
瑠璃:そうね。まだ痛みは感じるから。
GM:そこで気がつく。いつもなら《リザレクト》するのにしない。
瑠璃:あらあらびっくり。じゃあ《不死者の恩寵》(笑)
GM:ところが、他のエフェクトも使えない。傷もふさがらず、レネゲイドの力を感じることもない。
瑠璃:で、今日のご用件は?
GM/声:「用件? これだけだ。君がそのような姿になることが望みだ」
瑠璃:もう用済みになっちゃったのかな?
GM:それには低く笑うだけで答えない。……次第に目がかすんでくる。どんどん意識が暗闇に落ちていこうとしています。
瑠璃:どうしようかな……。じゃあ、落ちゆく意識を楽しんでおこう。
教会のシュージ:楽しむんだ(笑)
瑠璃:だって普段味わえない感覚ですよ!?
GM:そう。その感覚はオーヴァードには欠如している。
瑠璃:久しぶりの感覚かな。「覚醒」が「死」だから。
GM:その久しぶりの感覚を味わいながら、君の意識は途絶える。その直前、女の声が聞こえたような気がした。
「フフ、やっぱりこのへんのは活きがいいわね」
GM:……と、そこで目が覚めます。
瑠璃:あれ?
GM:夢オチ。
瑠璃:夢かいっ!?(笑) じゃあ授業終了のチャイムで目が覚めた。
GM:現実感がない割には妙にリアルすぎる夢だった。全身から汗がふきだしている。
瑠璃:授業も終わったことだし、気持ち悪いから帰るか。
GM:そこであなたはひとつ気づく。体中のレネゲイドが騒いでいる。その感覚から今の夢が、オーヴァードの仕業であろうと思います。
瑠璃:なるほどね。
(そういえば……)
かつて一度だけ会ったことのあるFHエージェントの名を思い出した。“悪夢の紡ぎ手(ナイトメア・ウェーバー)”新藤多佳子。相手の記憶を読み取り、悪夢を見せる女。UGNが行ったFH施設の突入作戦から逃げおおせたと聞いていたが、また武蔵蓮沼に戻ってきたのだろうか。
「あー、結希ちゃんが見つけたら教えてほしいって言ってたっけ?」
鞄を持ち上げると、午後の授業はなかったことにして瑠璃は教室を後にした。
◆Opening04◆久遠寺遥歌
「武蔵蓮沼支部、ゴー」
いつものように研究所にいた遥歌だったが、室長に呼び出されてみればそんな一言。さすがにあきれたものの、用事があるのは間違いないのだろう。
「僕は犬じゃないんですが」
憮然とした声で呟きながら、遥歌はUGN武蔵蓮沼支部へと向かった。
GM/薬王寺:「さっそくですが、あなたに任務をお願いします」
遥歌:なんでしょうか?
GM:あ、しまった……。
GM/薬王寺:(小さな声で)「あなたに、天羽央樹失踪事件を……担当してもらいます」
遥歌:なんで弱気なのー!?
GM:信頼して言うんだよ、これ(一同爆笑)
GM/薬王寺:「まあ、なんだかんだで遥歌さんに仕事を頼むことも多いですし。信頼していますよ、はい」
遥歌:僕以外に仕事を頼める人がいるなら頼めばいいんじゃないですか?
GM/薬王寺:「いないんですよ……。いえ、いるんですが。シュージ君。シュージ君とあなたに、全権を委任したいと思います」
GM:薬王寺支部長が出られればいいんですけど、前回の事務処理に追われているところなんです。
どこかの瑠璃:そっちは手伝えないもんねぇ(しみじみ)
GM:何するかわからないもんね(一同笑)
久遠寺遥歌が何をやらかしたかは第2話参照のこと。
遥歌:シュージ君とですね、わかりました。
GM/薬王寺:「正直、シュージ君1人に頼むのは……」
遥歌:不安ですよねぇ〜。
GM/薬王寺:「ですよねっ」
遥歌:なんていうか、ほっとくと道の端に天羽君に似た人を見つけたら、車がきてても走っていっちゃいそうですよね!
GM/薬王寺:「車が来ていることに気づかなそうですよね!」
遥歌:そうなんですよっ! すごく心配なんですよ!!
GM/薬王寺:(しみじみと)「……お願いします」
遥歌:(同じく)わかりました……。
学校の幸助:支部長からの依頼は、表向きは天羽の捜索なんだけど……。
遥歌:裏向きは、保父さん(笑)
GM/薬王寺:「UGN武蔵蓮沼支部はあなた方を全面的にバックアップします。……バックアップできるようになったんですよ!(喜)」
遥歌:おめでとうございます(笑) 前回は大変でしたからねぇ。では最終目的は「天羽央樹の救出」でいいんですよね。
GM/薬王寺:「はい、よろしくお願いします。今までの資料を渡しておきます」そう言ってCD−ROMを渡されます。
遥歌:わかりました。
GM/薬王寺:「何かありましたら支部に知らせてください。調査しますから」
GM:というわけで、今回のシナリオ情報技能は<情報:UGN>です。すでに持っている人は1レベル分上昇させてください。
一同:おおー。
GM:シナリオロイスは天羽央樹で。
遥歌:シュージ君にも一緒にとります。天羽君には誠意と……悔悟。
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